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こんにちは。uchunoteです。
ここでは2023年の集中治療理学療法士認定試験で出題された、問題番号「4」の解き方を解説します。
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集中治療理学療法士認定試験2023Q「4」
このページで取り上げる問題番号は「4」です。
問題の内容は著作権に関わる案件があるため掲載できません。
集中治療医学会のホームページにて過去問題が掲載されているので、そちらと問題番号を照らし合わせてご参照ください。
↓過去問を取得↓
「集中治療理学療法士 過去問題集」で検索ください。
前提となる知識
問われている内容はインシデントについてです。
前提となる知識は、「理学療法士集中治療テキスト」には記載されていません。
JIS規格や、厚生労働省のページが一次情報に近い印象でしたので紹介します。
a::フールプルーフ(とフェイルセーフ)
医療過誤があっても患者が障害に至らない仕組みを「フールプル-フ」というかどうかについては、「JIS規格情報」を参照しました。
「JIS規格情報」の「ディペンダビリティ(総合信頼性)用語集」と「サービスロボット用語集」において、フールプルーフは以下の通りに記載されています。
用語:フールプルーフ
定義:人為的に不適切な行為,過失などが起こっても、ロボット及びロボットシステムの要素が危険な状態に至らないようにする機能又は性質。
対応英語(参考):fool proof
※「JIS規格」の「サービスロボット用語集」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
「フールプルーフ」近い概念である「フェールセーフ」についての記載もありましたので、補足として掲載します。
用語:フェールセーフ
定義:故障時に,安全を保つことができるシステムの性質。
注記1 安全に関する条件は,特定する用途に合わせて定義することが望ましい。 注記2 フェールセーフは,本来,形容詞として用いられる。
対応英語(参考):fail-safe
※「JIS規格」の「ディペンダビリティ(総合信頼性)用語集」より引用(閲覧日:2024年7月28日)https://jis.eomec.com/terminology/z52681152019/477#gsc.tab=0
医療過誤を防ぐものがフールプルーフ、機械の故障による事故を防ぐものがフェイルセーフということです。
b:ヒヤリハット
厚生労働省のホームページでは、ヒヤリハットを日本医療機能評価機構へ報告し,公表する必要があるかどうかについて、以下のような記載があります。
本事業では、事故等事案だけではなく、ヒヤリ・ハット事例についても情報を収集しています。報告いただく事例の範囲は以下のとおりです。
- 医療に誤りがあったが、患者に実施する前に発見された事例。
- 誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかった事例または軽微な処置・治療を要した事例。
ただし、軽微な処置・治療とは、消毒、湿布、鎮痛剤投与等とする。- 誤った医療が実施されたが、患者への影響が不明な事例。
また、ヒヤリ・ハット事例の報告については、すべて任意でご参加いただいており、発生件数のみを報告する方法と、発生件数と事例情報の両方を報告する方法のいずれかを選択いただけます。(本事業への参加をご希望の医療機関の方は、日本医療機能評価機構のホームページからお手続きください。)
※「厚生労働省 医療事故情報収集等事業について」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
すべて任意とあるため、公表する必要はありそうでなさそうです。
解答一覧では、この選択肢は「正答」となっていますので、ヒヤリハットは日本医療機能評価機構へ報告し、公表する必要がある、と言えるようです。
c::医療過誤の公表
厚生労働省では、医療過誤で患者に重篤な障害が発生したが一過性であった場合,公表する必要はないかについて、以下のような記載があります。
患者重症度 | A.死亡(恒久) | B.障害残存(恒久) | C.濃厚な処置・治療を要した事例(一過性)(注1) | 軽微な処置・治療を要した事例または影響の認められなかった事例 | |
原因等 | |||||
1.明らかに誤った医療行為又は管理(注2)に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。 | 事故(注4)として報告 注4:事故とは、過誤および過誤をともなわない事故の両方が含まれる | 注3 医療安全対策ネットワーク整備事業(ヒヤリ・ハット事例収集事業)へ報告 | |||
2.明らかに誤った医療行為又は管理は認められないが、医療行為又は管理上の問題(注2)に起因して、患者が死亡し、若しくは患者に障害が残った事例又は濃厚な処置若しくは治療を要した事例。(医療行為又は管理上の問題に起因すると疑われるものを含み、当該事例の発生を予期しなかったものに限る。) | |||||
3.上記1.2のほか、医療に係る事故の発生の予防及び再発の防止に資すると認める事例※ ヒヤリハット事例に該当する事例も含まれる | 事故(注4)として |
※厚生労働省「医療事故情報収集等事業における報告すべき事案等の周知について」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb4847&dataType=1&pageNo=1
「重篤な障害」という文言はないですが、「軽微な処置・治療を要した事例または影響の認められなかった事例」よりも重いようなので、事故としての報告は必要そうです。
「公表する必要がある」かどうかについては、そのような文言はこの引用元からは探すことができませんでした。
ただ、解答ではこの選択肢が「誤り」と記載されていますので、公表する必要があるようです。
実際、報道で取り挙げられている例はあると思います。
d:インシデント影響度分類
厚生労働省のホームページでは、インシデント影響度分類におけるレベル3bとは,障害が永続的に残存するものを指すかどうかについて、以下のような情報が掲載されていました。

※厚生労働省 インシデント影響度分類 より引用(閲覧日:2024年7月28日)https://www.google.com/url?client=internal-element-cse&cx=005876357619168369638:ydrbkuj3fss&q=https://www.mhlw.go.jp/topics/2009/03/tp0331-2/dl/tp0331-2al_0006.pdf&sa=U&ved=2ahUKEwi9y4SnrMmHAxV7h1YBHfGpB6QQFnoECAIQAQ&usg=AOvVaw3aRjkOWhOgpyOIT23uyzDE&arm=e
上記の情報より、インシデント影響度分類におけるレベル3bとは、障害が一過性にとどまるものであるので、選択肢は誤っています。
e:治療を要したが断定できない場合
患者に治療を要したが明らかな医療ミスとは断定できない場合,公表する必要はないかどうかについては、本ページのcの欄を参照ください。
問題「4」の考察・まとめ
問われている内容は「インシデント」についてです。
それぞれの選択肢について見ていきましょう。
・a:
選択肢には「医療過誤があっても」とあります。医療過誤を防ぐものがフールプルーフであり、医療過誤があってからはフールプルーフの範疇外です。
そのためこの選択肢は「誤り」ということになります。
・b:
解答一覧では、この選択肢は「正答」となっていますので、ヒヤリハットは日本医療機能評価機構へ報告し、公表する必要がある、と言えるようです。
・c:
「公表する必要がある」かどうかについて、私は引用元から読み取ることができませんでした。
ですが解答一覧では、この選択肢は「誤り」となっています。
・d:
3bの定義として誤っているので、この選択肢は「誤り」です。
・e:
「c」と同様で、この選択肢は「誤り」です。
となると思われます。
誤りや改善点などありましたら、コメントにてお知らせください。
ご覧いただきありがとうございました。
【参考としたもの】
・JIS規格「サービスロボット用語集」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
・JIS規格「ディペンダビリティ(総合信頼性)用語集」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
・厚生労働省「医療事故情報収集等事業について」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
・厚生労働省「医療事故情報収集等事業における報告すべき事案等の周知について」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
・厚生労働省「インシデント影響度分類」より引用(閲覧日:2024年7月28日)
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【免責事項】
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