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こんにちは。uchunoteです。
ここでは2023年の集中治療理学療法士認定試験で出題された、問題番号「9」の解き方を解説します。
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集中治療理学療法士認定試験2023Q「9」
このページの問題番号は「9」です。
問題の内容は著作権に関わる案件があるため掲載できません。
集中治療医学会のホームページにて過去問題が掲載されているので、そちらと問題番号を照らし合わせてご参照ください。
↓過去問を取得↓
このページで取り上げる問題番号「9」は「DNAR指示」に関する問題です。
前提となる知識
前提となる知識として、「Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告」が挙げられます。
Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告

※集中治療医学会「Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告」より引用
問題「9」の考察
問われている内容は「DNAR指示」についてです。
それぞれの選択肢について見ていきましょう。
・a:DNAR指示と終末期医療とは同義であるかどうか
“DNAR指示と終末期医療は同義ではない。DNAR指示にかかわる合意形成と終末期医療実践の合意形成はそれぞれ別個に行うべきである”とされています。
理由としては、
“終末期医療における治療の不開始,差し控え,中止に,心停止時に心肺蘇生を行わない(DNAR)選択が含まれることもある。しかし,DNAR指示が出ている患者に心肺蘇生以外の治療の不開始,差し控え,中止を行う場合は,改めて終末期医療実践のための合意形成が必要である。各施設倫理委員会がDNAR指示と終末期医療に関する指針(マニュアル)を明確に分離して作成することを強く推奨する”と記載されています。
DNAR指示と終末期医療はそれぞれ含まれるものが異なるため、同義ではなく、分離して作成するべきということです。
・b:DNAR指示の心停止は急変時と同義であるかどうか
「DNAR指示は心停止時のみに有効である。心肺蘇生不開始以外はICU入室を含めて通常の医療・看護については別に議論すべきである」とされています。
理由としては、
“心停止を「急変時」のような曖昧な語句にすり替えるべきではない。DNAR指示のもとに心肺蘇生以外の酸素投与,気管挿管,人工呼吸器,補助循環装置,血液浄化法,昇圧薬,抗不整脈薬,抗菌薬,輸液,栄養,鎮痛・鎮静,ICU入室など,通常の医療・看護行為の不開始,差し控え,中止を自動的に行ってはいけない”
と記載されています。
(個人的には)問題文が少しわかりにくいと感じたのですが、心停止は急変の一部なので、心停止と急変は同義ではありません。
たとえば急な酸素飽和度の低下も急変に含まれますが、この勧告によるとDNAR指示は心停止時のみに有効なので、急な酸素飽和度の低下など、心停止以外の要因による急変はDNARに含まれません(日本語が下手ですいません)。
よってこの選択肢は誤りと思われます。
・c:DNAR指示に関わる合意形成は終末期医療に関するガイドラインに準じて行うかどうか
「DNAR指示にかかわる合意形成は終末期医療ガイドラインに準じて行うべきである」
とされています。
脚注には、
“厚生労働省「人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン」,あるいは日本集中治療医学会・日本救急医学会・日本循環器学会「救急・集中治療における終末期医療に関するガイドライン 〜3学会からの提言〜」の内容を忠実に踏襲すべきである”
と記載されています。
DNAR指示に関わる合意形成は終末期医療に関するガイドラインに準じて行うべきということです。
・d:DNAR指示の妥当性について決定後の話し合いは不要である。
「DNAR指示の妥当性を患者と医療・ケアチームが繰り返して話し合い評価すべきである」
と記載されています。
脚注には、
“DNAR指示は,患者が終末期に至る前の早い段階に出される可能性がある。このため,その妥当性を繰り返して評価し,その指示に関与する全ての者の合意形成をその都度行うべきである”
と述べられています。
DNAR指示の妥当性について、決定後も話し合いを繰り返すべきだということだと思われます。
・e:Partial DNAR指示は行わないかどうか
勧告には、
「Partial DNAR指示は行うべきではない」
と明文化されています。
※「partial」とは、日本語で「部分的な」という意味です。
理由としては、
“Partial DNAR指示は心肺蘇生内容をリストとして提示し,胸骨圧迫は行うが気管挿管は施行しない,のように,心肺蘇生の一部のみを実施する指示である。心肺蘇生の目的は救命であり,不完全な心肺蘇生で救命は望むべくもなく,一部のみ実施する心肺蘇生はDNAR指示の考え方とは乖離している”
ことが理由だそうです。
実際の臨床場面では乖離して用いられているように感じますが、この勧告では明確に否定されています。
まとめ
・a:✕
DNAR指示と終末期医療とは同義ではないので、誤り。
・b:✕
DNAR指示の心停止は急変時と同義ではないので、誤り。
・c:◯
DNAR指示に関わる合意形成は終末期医療に関するガイドラインに準じて行うので、正答。
・d:✕
DNAR指示の妥当性について決定後の話し合いは不要なので、誤り。
・e:◯
Partial DNAR指示は行わないので、正答。
となり正答の選択肢は、
c,e
となると思われます。
正答率は45.3、識別指数は0.14で、やや低めの正答率でした。
前半はガイドラインや提言、勧告からの問題作成が多いですね。
ホームページやSNS、メルマガを逐一確認し、しっかりと読み込むことが必要みたいです。
誤りや改善点などありましたら、コメントにてお知らせください。
ご覧いただきありがとうございました。
【参考としたもの】
・集中治療医学会「Do Not Attempt Resuscitation(DNAR)指示のあり方についての勧告」
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【免責事項】
※あくまで個人の見解です。誤りを含む場合もあります。
※こちらの記載内容を使用したことによる損害については一切の責任を負えません。必ず医療専門家に相談してください。
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