集中治療理学療法士認定試験2023Q「5」 重症患者の搬送方法

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こんにちは。uchunoteです。

ここでは2023年の集中治療理学療法士認定試験で出題された問題の解き方を解説します。

↓過去問を取得↓

https://www.jsicm.org/certification/pt.html

集中治療理学療法士認定試験2023Q「5」 重症患者の搬送方法

このページの問題番号は「5」です。

問題の内容は著作権に関わる案件があるため掲載できません。

集中治療医学会のホームページにて過去問題が掲載されているので、そちらと問題番号を照らし合わせてご参照ください。

このページで取り上げる問題番号「5」は「重症患者の搬送方法」に関する問題です。

 

前提となる知識

前提となる知識として、重症患者の搬送方法の知識が必要です。

重症患者の搬送方法については、2022年に集中治療医学会から指針が発表されています。

https://www.jsicm.org/news/news220323.html

※集中治療医学会「集中治療を要する重症患者の搬送に係る指針」公開のお知らせ より引用

 

問題「5」の考察

問われている内容は「重症患者の搬送方法」についてです。

それぞれの選択肢について見ていきましょう。

・a:胸腔ドレーンを水封にするかどうか

血気胸を呈しているので、ドレーンによる吸引が必要と思われます。吸引方法には水封式と低圧持続吸引法がありますが、搬送中はシステムの簡素化を考慮し、持続吸引よりも水封式が選択されることがおおいそうです。そのためCT搬送時は胸腔ドレーンを水封にするので良いと思われます。

・b:ベッドを誘導する者の他に最低2名の医療者が同行するかどうか

指針には人数に関しての明確な記載がありませんでした。ですが今回の場合、ベッドを誘導する人員以外にも、バックバルブマスクを揉む人や患者のルート類を管理する人が必要なので、合わせて最低二人は必要と考えました。

・c:移動用人工呼吸器の使用経験がある医師または臨床工学技士に応援を要請するかどうか

指針では、重症患者搬送チームとして、医師、看護師、臨床工学士を挙げています。本患者でも人工呼吸器を装着していますし、応援を要請する場面と考えます。

・d:残量が2 Mpaの酸素ボンベを使用するかどうか

指針では「搬送中に使用する酸素の所要量の2倍量以上を携行」すると記載されています。

指針で想定されている場面とは異なりますが、酸素ボンベもぎりぎりの容量のものの用意では、心もとありません。

問題文にある2Mpaがどれくらいの残量かというと、全然足りないです。

問題では設定されていませんが、一般に使用されている酸素ボンベである内容量3.4リットル・ガス容量500Lであるものを想定すると、圧力計の値が2Mpa、安全係数が0.8であれば酸素の残量は約50Lとなります。

FiO2は0.6なので、それに相当する流量は少なくとも5L/minとしても、50÷5L/min≒10minとなり、約10分しか持ちません

これではCT室に行くまでに酸素が切れてしまいます。

CTは5-20分かかりますので、行き帰りと待ち時間を想定すると最低でも30分かかるとしても、余裕をもってその倍くらいの用意が必要と思われます。

よってこの場面で残量が2Mpaの酸素ボンベを使用することは不適切と考えます。

計算方法はこちらを参考にしました↓

酸素ボンベの残量:Ke!isan 酸素ボンベの残量計算https://keisan.casio.jp/exec/system/1563329379

酸素の必要量:道永裕希ら 人工呼吸器装着患者の安全な病院間搬送https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/24/1/24_24_39/_article/-char/ja/

・e:脳室ドレナージを開放したまま搬送するかどうか

脳室ドレナージを開放したままにすると、搬送中に脳圧の変動が生じる可能性がでてきます。リハビリ介入中でも、看護師に依頼して脳室ドレナージをクランプするかと思います。それと同様に、搬送中は脳室ドレナージはクランプするようです。

 

まとめ

a:○

胸腔ドレーンは水封にします。正しい

b:○

ベッドを誘導する者のほかに2名以上必要。正しい

c:○

医師や臨床工学技士も患者搬送チームの一員です。正しい

d:○

2Mpaでは足りない。誤り

e:○

開放ではなく閉鎖する。誤り

となると思われます。

 

誤りや改善点などありましたら、コメントにてお知らせください。

ご覧いただきありがとうございました。

【参考としたもの】

・集中治療医学会「集中治療を要する重症患者の搬送に係る指針」公開のお知らせ https://www.jsicm.org/news/news220323.html

・看護roo! 胸腔ドレナージhttps://www.kango-roo.com/learning/8203/

・酸素ボンベの残量:Ke!isan 酸素ボンベの残量計算https://keisan.casio.jp/exec/system/1563329379

・酸素の必要量:道永裕希ら 人工呼吸器装着患者の安全な病院間搬送、日集中医誌 2017;24:39-40https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsicm/24/1/24_24_39/_article/-char/ja/

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【免責事項】

※あくまで個人の見解です。誤りを含む場合もあります。

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